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甘いものというのは、時に人を虜にさせることがあります。わたくしも山崎製パンの「マロンマロン」という商品に一時期ハマったことがあり、コンビニで菓子パンを買うときは必ず選んでいました。最近見かけなくなってなんとなくさみしいのですがあのパンは未だ売ってるのでしょうか・・・

さて、きょうは菓子パンではなくプリンのお話。

福島県田村市の都路商工会が今年3月に開設したスイーツ専門店「みやこじスイーツゆい」。ここで発売したプリンが看板商品にまで育ち、このお店は17年度には株式会社として独立することが予定されるほどに発展することができたという記事が河北新報に掲載されていました。

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しかし、福島県田村市は福島第一原発のある大熊町にも隣接し、このお店のある都路地区には14年4月まで避難指示が出ていました。風評被害も心配される環境の中、それをどのようにして乗り越えこのプリンを看板商品にまで育て上げたのでしょうか。

このプリンには、安全性が確認された地元産の卵を使いつつ添加物は一切使わないという素材へのこだわりがあります。また東京のホテル料理長から指導を受けた地元女性7人の手作りという製法も、このプリンの商品力を確固たるものにしているようです。

そして心憎いのが商品ラインの設定。1個¥120とお手頃の値段の「ゆいプリン」はやや硬い食感が特徴。市販されている大手メーカーの商品にはない新しい感覚で、「試しに買ってみた」という客の心をつかみます。これとは別に1個¥250のやや高めの「リッチプリン」は卵黄のみを使った柔らかな食感。「ゆいプリン」とは違った味わいを体験してみようと買った客をすぐさま虜にするに違いありません。

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こうして固定客を獲得することに成功し、店の発展につながったものと想像します。
原発事故という大変な困難を知恵ひとつで乗り越え、新たな価値まで生み出したその執念に脱帽です。

河北新報 10月25日(火)付記事より
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201610/20161025_62006.html