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先日、GLM社製の電気自動車(EV)スポーツカーがグランフロントに展示されているのを見つけました。車体はとても小型ですがとても早そうです。EVの車体は軽量化のためにアルミニウムが使われるようですが、アルミニウムは素材が柔らかく、プレス加工がとても難しいのだそうです。

そんなアルミニウムのプレス金型を提供するのは、富士テクニカ宮津(静岡県清水町)。テスラモーターズの主力EV「モデルS」の骨格金型も手がけ、ライバルの中韓勢の先を行きます。

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実は、同社は6年前まで「金型を作るほど赤字を垂れ流す工場」とまで言われていました。2000年以降、日系自動車大手の海外移転や中韓勢の台頭により事業基盤が弱体化。自己資本0.5%という債務超過寸前のところで政府主導の再建がきまり、その後東洋鋼板の子会社となりました。

同社の強みは複雑な変数も計算に入れられる設計力と、誤差数マイクロメートルで曲線や先端を鋭角に磨き上げる熟練の技にあり、難易度の高い要求に技術で応えてきた歴史があります。反面、自ら市場を開拓する力が弱く外部環境の変化に適応できずに一度経営破たん寸前まで追い込まれたものと思われます。

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親会社である東洋鋼板は今後、同社と材料技術を組み合わせた新たな金型素材の開発や、工材と金型をセットで顧客に提案する方法を模索しているようです。富士テクニカ宮津は、素材メーカーに人材を派遣するなどして技術を吸収しつつ、課題である提案力・市場開拓能力を高めていく必要があるのではないかと思われます。

日本経済新聞 9月26日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO06935320W6A900C1X11000/