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このところ飲食店やコンビニへ行くと、外国人が応対してくれることが多くなりました。と、いうより外国人しか見かけなくなったといった方が正確かもしれません。日本の人手不足もここまで来たかと考えさせられるものがあります。

4月に改正された出入国管理法では、日本語の試験に受かるなどすれば外食や宿泊などの業種で5年在留が可能なビザが与えられるなど、今後外国人が日本で働くケースはますます増えてくると予想されています。

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そのような状況でこの日経新聞の見出しは少し気がかりです。外国人の就労が増えているのであれば労災事故の件数自体も増えるのは数字上仕方のないことなのかもしれません。しかし、その中でも技能実習生の割合が過去最多を更新し続けているという事実は問題のように感じます。

厳しい労働環境で働く技能実習生の問題は、報道などでよく耳にするところです。しかし、現在の入管法では入国1年目の技能実習生であったとしても、日本人と同じ労働基準法など労働関係法に基づいた労働契約を結ぶことが義務付けられています。

それでも技能実習生の劣悪な労働環境が改善されないのはなぜなのでしょうか。

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そのひとつとして憲法第22条1項が定める「職業選択の自由」が外国人に対しては制限されていることが挙げられます。日本国憲法では第22条2項で「出国の自由」は保障しているものの入国の自由は保障されないとされています。入国に関しては、法務局の判断によって就労など国内に在留する条件を制限することができる、という過去の判例があるためです。

職業を自由に選ぶことができないとなると、仮にたとえ違法で劣悪な環境で働かされていたとしても、裁判などで違法性を訴えるのはかなりの労力がいります。そのためこのまま日本に在留し続けようと思えば結局は劣悪な労働環境を受け入れざるを得なくなるのが現実なのではないでしょうか。

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近年、憲法改正を訴える政治家や政党が増えてきていますが、外国人の人権については論点に挙げられていません。日本の人口が減って労働力の確保が喫緊の課題なのだとすると、外国人をどのように受け入れて彼らの人権をどう守るかも早々に議論しなければならないことの一つなのではないかと思います。

日本国憲法
第22条第1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
   第2項 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

日本経済新聞 2019年5月19日(日)付朝刊より
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44990510Y9A510C1CZ8000/