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今年は日本でも、4月に統一地方選挙、夏には参議院議員選挙が予定されており、巷には候補者のポスターが目立つようになってきて色めきだっています。

タイ王国でも今年は3月に総選挙が予定されており、各政党から首相候補が擁立されています。その中で、タクシン派の政党が国王の姉であるウボンラット王女を擁立しようとしましたが、国王が難色を示し、選挙管理員会もその擁立を認めなかったことで立候補が取り下げられるというニュースがありました。

タイの憲法においては、王族の選挙への立候補の禁止が明文化されているわけではありません。しかし、主権は国民にあり国王はその代行者であるという考え方がタイには根付いており、王族もその考えに準じるべきという判断が下ったといえます。

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実は、日本の皇族も選挙に立候補することは認められていません。そしてこれも憲法に明文化されているわけではありません。

皇族が選挙に立候補できないのは、公職選挙法の附則で「戸籍法の適用を受けない者の選挙権及び被選挙権は、当分の間、停止する」と規定されており、天皇・皇族は戸籍法の適用を受けない皇統譜に記載されているために選挙権・被選挙権が停止されているものとなります。

このような規定は、参政権という人権を否定するものになりますが、憲法が世襲制に基づく象徴天皇制を認めていることから、それによるやむを得ない制約は、憲法上許容されると考えられています。

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もし、仮に皇族が被選挙権をもったならば、象徴天皇制という枠をこえ、今回のタイの事件のように政治的中立性を保てなくなる懸念は十分に考えられるでしょう。

日本国憲法
第1条
 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第2条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第4条1項 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する機能を有しない。

日本経済新聞 2月11日(月)付より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41143390R10C19A2000000/