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高齢化、共働きや単身世代などの増加により都市部でもなかなか日々の買い物がままならないという人が増えているのか、最近スーパーマーケットで「買物代行サービス」なるサービスを見かけます。ネットで買いたいものを指定して、スタッフが買い物をして届けてくれるというサービスです。

スタッフはサービス事業者の社員というわけではなく、近所に住んでいる人が時間に余裕があるときに買い物を代行して行ってくれるという形態のところが多いようです。このようなサービス形態を「クラウドソーシング」などと呼び、いわゆるシェアエコノミーの一つであるとされています。

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この買物代行サービスを世界展開しているのが、シンガポールのベンチャー企業「オネストビー」です。オネストビーでは、買い物をするスタッフ(ショッパーbee)と配達をするスタッフ(デリバリーbee)で役割分担し、依頼者の細かい要望に応えたり、2つ以上の店舗をはしごして買い物をしてもらったりすることができます。

配達してくれる商品は、飲食店のお料理や生鮮食品が主なものですが、最近では百貨店とも提携してデパ地下の食材や、菓子・酒類といったものの買い物も代行してくれます。このたび小田急百貨店の新宿店もオネストビーと提携し、新宿店の商品が首都圏の指定エリアなら当日配達とのことです。

オネストビーはさらに今年「ネーションワイド」というサービスを立ち上げ、配送業者の配送網を利用して沖縄・離島を除く全国に買い物したものを配達するサービスも開始しました。これにより百貨店へのアクセスがあまりよくない地方においても、デパ地下の逸品をお取り寄せできることになります。

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ところで、小田急百貨店はこれとは別にECサイトを既に立ち上げています。ただ、実店舗とECサイトの両方を運営する場合、在庫の連動などオペレーション上の問題が生じます。オネストビーとの提携には、オンライン経由の注文に応じて専門のスタッフが「買物を代行」してくれることにより、実店舗だけに在庫を確保しておけばよいというメリットもありそうです。

空き時間を利用した「買物代行」というスタイルは、買い物難民や配達員の不足の問題をも解決し、Eコマースの世界にも風穴を開けそうな予感がします。

流通ニュース 2018年12月12日(水)付 より
https://www.ryutsuu.biz/ec/k121218.html