ホース

今日のNHK-BS「英雄たちの選択」のテーマは高田屋嘉兵衛。北前船を操り上方と蝦夷地(北海道)との交易で莫大な富を得た商人。上方の米や酒、蝦夷地の海産物それぞれの地にない物産や価値観を航海の危険というリスクを負って結ぶことで利潤を得るというビジネスモデルです。しかし、交通網も情報網も発達した現代では物を右から左へ動かすだけではもうけを出しにくい社会であるといえます。
ならば、ということで生産そのものを自分のところでやってしまおうと動いた大阪の商社があります。

大阪は茨木市に本社をもつマルカキカイは顧客の生産ラインの特徴に合わせて製品を加工し、使いやすくする提案営業を展開する機械商社。このたび、高圧の水を噴射して金属加工の際の削りかすなどを高精度で除去する洗浄機に強みを持つ山形県天童市の管製作所を買収。
これまでも同社製品の販売を手掛けていましたが、子会社にして取扱い数量を増やすとともに、仕入れ販売する工作機械に付随する設備の製造も手掛けることで、顧客の納品要望に柔軟に対応するという狙いもあるようです。

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マルカキカイのように顧客に適切な製品を提案営業で販売する商社にとっては、その製品を適切な量でかつ適切なタイミングで供給できるサプライチェーンマネジメントを行う必要があるといえます。顧客の要望を聞き、その情報を適切に生産者に伝えて供給を行えるようサプライチェーンの全体最適を図る戦略が求められることになります。

この買収に関して言えば、自動車業界を中心に洗浄機の注文が増えてきている背景を踏まえ、複数社にわたる販売ルートを段階的に統合し、サプライチェーンの最適化を図ることにより同社経由での売上を伸ばしたいという考えがあるようです。

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冒頭で紹介した高田屋嘉兵衛も上方と蝦夷地の産物を相互に運ぶだけではなく、函館の街に広大な営業拠点を敷設し、蝦夷地での商いを強力に拡大していったそうです。商機とみるや大胆な投資を行う度胸が勝負の分かれ目になるのは今も昔も変わらないようです。

日本経済新聞 3月31日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD30H23_Q6A330C1LDA000/