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かつては、天丼といえば大きな海老が載っているものをイメージしたものですが、最近は穴子天丼、鶏天丼、野菜天丼とバリエーションも様々です。海老は総じて高いので私がランチで食べるのは大概、某食堂の鶏天丼410円(税込)・・・。海老は大好きですが、私にとっては晴れの日のご馳走と化しています。

そんな高級化した海老を海外で養殖して売り出そうとする企業があるそうです。しかも養殖する場所は海ではなく陸上。東京都新宿区のITMエンジニアリングは病気を防ぐ薬品を使わないで海老を養殖する技術を開発。通常の養殖モノより3倍も甘く、添加物も薬品も使わないため日本では「食の安全にこだわる消費者の関心が高い」とのこと。
この技術をラオスに持ち込み現地の安い人件費や光熱費を生かして養殖をするそうです。それでも価格は一般の海老より5割ほど高く、富裕層向けに現地の高級レストランやホテルに売り込みをするとのことです。

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この会社は、日本でもラオスでもこの高級海老を流通させていますがそのマーケティング戦略はそれぞれ違っているものと考えられます。

日本では人口減少と食の多様化で市場は「成熟期」に入っていると考えられます。成熟期においては①現在の使用者に対し使用頻度の向上を図る②新用途の開発を図る③新市場の開拓を図る④商品を改良するなどの戦略が有効とされ、この企業の場合「無添加・薬品なしで3倍も甘い」という④商品の改良によって生き残りを図ろうとしています。

他方、ラオスでは経済成長が著しく富裕層と呼ばれる人たちが出現しつつあり高級海老の分野では「導入期」にあると考えられます。導入期においては先駆的な「革新者」を相手に製品を販売していくことになります。この時期は市場規模も小さく生産コストも高いため利益は少ないのですが、この間に認知度が高くなれば市場が「成長期」に入ったときに大きな利益を得られることになります。

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ラオスで「海老天」が多く食べられるようになったときには、この会社の社長は「海老御殿」を建てているかもしれません。おあとがよろしいようで・・・

日本経済新聞 3月28日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98925310X20C16A3TJE000/