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地方へ行くと時々今にも崩れそうになった空き家を見かけることがあります。このようになると人が住むことができないばかりか、倒壊の危険や犯罪者の隠れ家になったりし治安上も好ましくありません。本来、こうした物件は持ち主の責任によって適切に処置されるべきものですが、持ち主不明になっていることも多いのです。

持ち主不明になる原因の一つは、相続によって権利者が複数にわたり処分の決定を誰も行えなくなることがあります。

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遺言など被相続人の意思がない場合、遺産相続は配偶者がその1/2を子ども達が残りの1/2を均等に割り振ることが民法によって定められています。家などの不動産はそのまま分割することはできないため、家を引き継がなかった相続人には金銭などの動産を振り分けるなど遺産分割を行うことが一般的です。

しかし、親の住んでいた家を誰も引き継ごうとせず、遺産分割が適切に行われないままさらに相続人が亡くなってしまったりすると先に述べたように権利者の数が増えて誰も手が付けられなくなってしまうのです。

法務省はこのような事態になることを防ぐために遺産分割を話し合いで決める期間を相続開始から10年に限ることを検討することとなりました。2020年の通常国会にも民法改正案を提出する見通しです。

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日本国憲法第29条は、「財産権はこれを侵してはならない」と定め個人の私有財産が守られることを明記しています。その個人が死亡した場合に行われるのが相続と言うことになるのですが、民法は先に述べたように配偶者と子息が相続を行うことを想定しています。

戦前の日本社会においては、財産は「家」のものであり主にその家の長男が「家督」を受け継ぐことにより守られてきました。戦後民法が改正され現在の形になるわけですが、これは日本国憲法第24条が定める「両性の平等」に基づいた形となっています。

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今もなお死亡者の家族である配偶者および子息が相続人となる根拠は、死亡者の財産によって支えられていた家族の生活を保障するためであるとされています。しかし、引き継がれずに空き家になる運命の親の家などはすでにこれによって家族の生活が支えられているとは言い難くなっています。

街の安全を守るためにもその財産を親族ではない誰かに譲りやすくする仕組みが必要になっているということです。

日本国憲法
第24条2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
第29条1項 財産権は、これを侵してはならない。
   2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

日本経済新聞 9月29日(土)付夕刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35922550Z20C18A9MM0000/