東武伊勢崎線(いまはスカイツリーラインと呼ばれています)の駅に「とうきょうスカイツリー駅」という駅がありますが、ここはかつて「業平橋駅」という名前の駅でした。スカイツリーの開業に合わせて駅名が変更され、現在では特急も停まる大きな駅へと変貌を遂げています。
「大阪」という地名もかつては、「なにわ」「なみはや」(浪速、浪花など)と呼ばれていました。この名前を変えるきっかけを作ったのは、本願寺中興の祖と呼ばれる蓮如上人であるといわれています。このたび「大さか」の記述が見られる最古の文書が見つかりそのことを裏付けています。
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蓮如上人は、のちに信長とも対峙する石山本願寺の源流となる石山御坊を建立。大阪での布教活動の拠点にしたといわれています。
ここからは推測となりますが、蓮如上人はある種意図的に「オオサカ」という地名を多用したのではないかと思います。「なにわ」「なみはや」という地名は、近辺の海域の潮の流れが速いことからつけられたといわれ港町としての意味が強かったと考えられます。そこからこの地を浄土真宗布教の拠点に変えるべく土地の呼び方もあえて変更し、付近の人々の心を信仰に振り向ける効果を狙った。そのように考えられるのではないでしょうか。
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このように同じ地名でも、呼び方により人の抱くイメージを大きく変えることがあります。たとえば、「業平橋 美容院」と検索させる場合は地域住民がターゲットとなりますが、「とうきょうスカイツリー 美容院」というキーワードで検索させる場合は、全国的な客をターゲットにして集客をすることになります。SEO対策やリスティング広告を出す場合は意識しておきたいポイントです。
日本経済新聞 2018年4月21日(土)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29646970Q8A420C1CR8000/