変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2018年04月

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東武伊勢崎線(いまはスカイツリーラインと呼ばれています)の駅に「とうきょうスカイツリー駅」という駅がありますが、ここはかつて「業平橋駅」という名前の駅でした。スカイツリーの開業に合わせて駅名が変更され、現在では特急も停まる大きな駅へと変貌を遂げています。

「大阪」という地名もかつては、「なにわ」「なみはや」(浪速、浪花など)と呼ばれていました。この名前を変えるきっかけを作ったのは、本願寺中興の祖と呼ばれる蓮如上人であるといわれています。このたび「大さか」の記述が見られる最古の文書が見つかりそのことを裏付けています。

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蓮如上人は、のちに信長とも対峙する石山本願寺の源流となる石山御坊を建立。大阪での布教活動の拠点にしたといわれています。

ここからは推測となりますが、蓮如上人はある種意図的に「オオサカ」という地名を多用したのではないかと思います。「なにわ」「なみはや」という地名は、近辺の海域の潮の流れが速いことからつけられたといわれ港町としての意味が強かったと考えられます。そこからこの地を浄土真宗布教の拠点に変えるべく土地の呼び方もあえて変更し、付近の人々の心を信仰に振り向ける効果を狙った。そのように考えられるのではないでしょうか。

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このように同じ地名でも、呼び方により人の抱くイメージを大きく変えることがあります。たとえば、「業平橋 美容院」と検索させる場合は地域住民がターゲットとなりますが、「とうきょうスカイツリー 美容院」というキーワードで検索させる場合は、全国的な客をターゲットにして集客をすることになります。SEO対策やリスティング広告を出す場合は意識しておきたいポイントです。

日本経済新聞 2018年4月21日(土)付 朝刊より
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29646970Q8A420C1CR8000/

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東京スカイツリーのふもとに引っ越してきて1か月。東京とはさぞかし物価が高いものかと戦々恐々としていたのですがさにあらず。ここ墨田区押上近辺はもともと下町で、390円でラーメンが食べられたり、500円で海鮮丼が食べられたりと価格破壊が起きています。ここ押上は、東京を代表する観光地でありながら激安の店が存在している、非常に特徴の強い街であるといえます。

ECの世界でも、選ばれるためには特徴的なコンセプトを打ち出さなければならない時代がやってきています。

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西友は、今年(2018年)1月にDeNAとの提携を解消し楽天と共同でネットスーパーの運営にあたることを発表しました。今月23日からは本格的なネットスーパーの開始に先駆けて、西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」「きほんのき」を楽天ダイレクトが運営する「爽快ドラッグ」「爽快ドラッグ楽天支店」「ケンコーコム楽天支店」で発売します。

「みなさまのお墨付き」は、店頭で70%以上の顧客が「非常に良い」もしくは「良い」と評価した商品のみを厳選したプライベートブランドで、品質が確実に担保された良品であるといえます。一方「きほんのき」は徹底的に低価格を追求したブランドで、100円を切る価格で台所用品が購入できるなど他が追随しにくいほどのロープライスを実現しています。

西友は楽天のもつ9300万人の会員基盤を利用した集客に期待しており、高品質の「みなさまのお墨付き」、徹底的な低価格の「きほんのき」で認知度を高めたうえで、本格的なネットスーパーの運営につなげたい狙いがあるものと思われます。

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情報があふれ特徴なきものは埋もれてしまう時代、何か尖ったものを持ち続けていたいものです。

流通ニュース 2018年4月20日(金)付より
https://www.ryutsuu.biz/ec/k042043.html 

sunset

先日、東京に引っ越してきました。電気やガス、保険の手続きなど数多くの事をやらなければならなかったのですが、まだまだネットより電話の手続きの方が便利に感じています。なによりオペレータのお姉さんが丁寧に対応してくれるのがいい。

若い女性が登用されることの多いコールセンターのオペレータ。そこにシニアの力を送り込んでいるのは新宿に本社のある株式会社キャリア。通信販売やスマホの問合せが多いのは高齢者であり、同年代が対応した方が良いと同社社長は語っています。

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同社は4期連続の増収増益で、その間に売上高は倍増し、日本経済の牽引役として期待されるNEXT1000のうち総資本回転率1位の企業として紹介されています。派遣事業は大規模な投資が不要なうえ、社会参加をしたいという高齢者層は多く、加えて上記のような需要も存在していることから急激な成長を見せています。

経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によれば2020年にはIT人材の22%が50代以上になるものと推計され、IT機器の操作にも強い高齢者層が増えてきます。供給側のすそ野も広がれば今後ますますシニアのオペレータが増えてくることは間違いありません。

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消費者の方も高齢化してくるので需要もさらに大きくなりますが、若年層に対しても経験豊かなシニア層が丁寧な応対することで、顧客満足度が向上するという効果も期待できるかもしれません。高齢者の方の活躍を期待する場面はますます増えそうです。

日本経済新聞 2018年4月17日(水)付朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29436140W8A410C1TJP000/

nazonosakana

Facebookを使っていると友人たちの投稿に加え、時々広告が混ざって表示されます。こうした広告は出稿時に趣味や年齢、居住地などによるターゲットを絞ったうえで表示され、効率的に効果を得られるような仕組みとなっています。

反面、こうした仕組みは思想や信条が近い内容の広告を表示し続けることができ、世論の操作が容易にできてしまうという批判もあります。2016年のアメリカ大統領選挙においては、ロシアの組織により社会の分断を招くような広告がFacebookに投稿され、選挙結果に影響を及ぼしたとされます。

こうしたことを受け、米国議会内ではテレビやラジオ並みの広告規制をオンライン広告にも適用するという議論がなされています。

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こうした規制は、表現の自由を侵害となる懸念を思い浮かべます。

日本においても2016年に、当時の総務大臣であった高市氏が放送法第4条を根拠に、政治的公平性を欠く放送が繰り返された放送局を停波にすると述べたことが波紋を呼びました。

しかし今年に入り安倍総理大臣がこの放送法第4条の撤廃に言及すると、今度は放送業界からフェイクニュースやヘイトスピーチの氾濫につながる懸念があるなどとして、一斉に反発が起こりました。

このような反応は、一見すると矛盾しているように見えます。
しかし、放送業界にはこの政治的公平性を追求してきたからこそ公共の福祉に則し、メディアとしての信頼を獲得してきたのだという自負があります。すなわち放送法第4条は放送業界の自律的な倫理規定である、と言う考え方が根底にあるのです。

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インターネットメディアは既存メディアのように文章量や時間の制約がなく、無限に情報量が増えるために、どうしても広告に対するチェックが回らなくなるという欠点があります。アメリカ大統領選で発生したネット広告による世論操作もこうした欠点を突き発生したものと考えられ、フェイスブック社のCEOも今回の規制法案を受け入れる方針を示しました。

ただ、フェイスブック社は同法案に即した自主規制案も示しており、表だって反対を表明しないことで過度な規制にならないようにする思惑もあるようです。

やはり、規制を喜んで受けることはメディアとしてのプライドが許さないのではないかと思います。

日本国憲法
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第21条第1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

日本経済新聞 4月8日(日)付朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29124400X00C18A4EA2000/ 

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