変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2018年02月

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2年前の年末から読みだしていた大作をようやく読み終えました。我ながら読むスピードが遅くてあきれてしまいます。だんだんとこれまで続いてきた平和に揺らぎを感じる昨今、何かのヒントになるのではと手に取った本です。

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舞台は、1812年前後のロシア。「1812年」というと私はチャイコフスキーの名曲を思い出します。実は二十歳のとき、母が勝手に応募した「成人の日コンサート」に何故か当選し、世界のマエストロ小澤征爾の指揮で大砲を打ち鳴らすという大役を任されたという思いでがあり、私にとっては感慨深い曲です。

そんな思い入れはさておき、あの曲の「大砲」は1812年に攻め込んできたナポレオン軍を、ロシア軍が打ち払ったことを象徴するもので、この小説でそのときに起きていた歴史を知ることができました。

しかし、トルストイはこの戦争が、ナポレオン一人の意思で引き起こされたということも、またロシアの将軍が優秀であったために撃退できたということも言下に否定をしています。トルストイはこれを「精神的関係では、事件の原因は権力のように思われるが、肉体的関係では―権力に服従する人々の活動である」と。

すなわち、権力につき従いそれを実行する人たちがいて初めて歴史は作り上げられるのだと。

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私は、この本を読んでいたハッとさせられた事があります。
物語は、過酷な戦場の場面と、それをどこか遠くの事であるかのように感じさせられる貴族の生活の場面と、両者が交互に描かれながら進みます。

しかし、読み進めたときに面白くて興奮するのはやはり戦場の場面。ただ、これはもちろん自分と直接かかわりのないことだからと言えます。そういう意味ではここで描かれた貴族たちの立場と同じと言えるかもしれません。

言い換えると、他人の戦争が面白く感じられたときに、民衆たちに権力の命令が良く届くようになり、結果として自分の戦争を呼び込んでしまう。そう突き付けられたように感じこの本を読み終えました。

戦争と平和
トルストイ[作] 工藤精一郎[訳] 新潮文庫

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私の住む街には変わったレンタサイクルがあります。観光地のレンタサイクルといえば、駅で自転車を借りて帰るときに返すというのが普通ですが、ここでは逆に家に帰ってきたときに借りて次の日出かけるときに返すというシステムです。つまり、通勤用に自転車を保有する代わりに借りて済ませようという客向けのサービスです。

わが街のレンタサイクルはおっちゃんに鍵を借りて乗るという純アナログな仕組みですが、近年ではスマホアプリを利用して所定の置き場にいけばすぐに乗れる、インターネットを介した自転車のシェアサービスも増えてきています。渋滞の解消や観光需要の掘り起しを図りたい自治体の後押しもあり日本でも普及が進みつつあります。


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お隣の国、中国では2015年頃から自転車シェアリングサービスが急速に広がり、2016年時点で2000万人を超える(第一生命経済研究所 LIFE DESIGN REPORT 2017.7より)勢いにあります。それに対して日本では駐輪場の確保などにまだ課題があり、本格的な普及はこれからとみられています。

メルカリが福岡で開始する自転車シェアリングサービス「メルチャリ」では、運営にメルカリの利用者を巻き込むことが特徴で、ユーザが乗り捨てられた自転車を所定の位置に戻すなどした場合にポイントが付与されます。将来的にはユーザに駐輪場の提供も求めることも検討されており、この仕組みがうまくいけば、日本においても自転車シェアリングサービスの普及が急速に進むかもしれません。

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プログラムなどの世界では、ソースコードを公開してだれでも自由に開発に参加できるオープンイノベーションが進んできました。「メルチャリ」のサービス運営方法はこれに似た仕組みであり、リアルの世界でも一般市民の参加により社会にイノベーションを起こすことになるかもしれません。

日本経済新聞 2月14日(水)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26869790T10C18A2TJ2000/ 

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