変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2017年09月

002

時代劇などを見ると、よく悪代官と町人が結託して不正を働く場面が描かれます。かれらは正義の侍に成敗される運命にあるわけですが、現在の世で起き明るみになった不正では、必ずしも不正を働いた主体が悪役としてみなされるとは限らないようです。

商工中金は「危機対応融資」を巡って行員が企業の書類を改ざんし、不正に融資を行っていたことが発覚。鹿児島支店では営業員の半数程度が顧客の書類の改ざんを行っていたと言う異常な状態でありましたが、地元の反応はむしろ「民業圧迫」と批判した全国地方銀行協会会長の発言を問題視しています。

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憲法22条第1項が規定する「職業選択の自由」は、「営業の自由」も含むとされ、政府系事業体による民業圧迫についても制限されるべきという考え方があります。商工中金の例では、税金を利用して超低金利で貸し付けを行っており、民間の銀行の営業を圧迫しているという論理です。

しかし、日経の本記事において上杉素直・編集委員は、政府系金融機関が査定や調整を行い民間がそれに乗っかるケースや、政府系金融機関の支援により倒産件数が減り民間金融機関の利益も間接的に保護されているという点で相互依存に陥っていると指摘しています。

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自由市場をベースとした資本主義は貧富の格差を拡大させ生存権すら危ぶまれる事態が発生しました。その反省として国家が経済のかじ取りまでを行う「積極・社会国家」へと転換していきました。しかし近年、積極国家に対して国家への依存による国民の政治的主体性喪失などの問題が指摘されています。

民間の国家への依存と、行政による不正が加速するようなことがあれば、ますます民主主義が危ぶまれることになりかねません。

日本経済新聞 9月24日(日)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21472480T20C17A9EA3000/ 

091

京都伏見へ行くと、龍馬が幕府方の役人に襲われ命からがら逃げたという「寺田屋」があります。中に入ると銃痕や刀傷が柱に残っており、当時の格闘の生々しさが伝わってきます。と、書きましたが実はもともとの建物は鳥羽伏見の戦いで焼失しており残っている銃痕や刀傷が本物かどうかは謎です。

さてこのほどこの寺田屋事件の際に、龍馬が寺田屋に残したとされる書面の内容を裏付ける文書が鳥取で見つかりました。内容は、長州藩が朝敵の汚名を晴らすために軍を率いて上洛する際に薩摩藩が幕府側の会津藩を京都から追い払うことを約束したものであったとし、薩長同盟のあり方を証明する貴重な文書であると評価されています。

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坂本竜馬が薩長同盟に介在したのは、薩摩と長州は互いの利害関係は一致するものの、それまで敵対する関係で互いに信用をすることが出来ないために、彼が介することにより双方の約束事を着実に履行させようとする効果があったといわれています。

実は、現在の情報セキュリティの技術も同じ考え方が使われています。たとえばネットショップでクレジットカードを使って買い物をするとき、成りすましによって品物をだまし取ったり、架空のサイトを使ってクレジット番号だけを盗み取ったり出来ないように、クレジットカードの利用者、ECサイト、クレジットカード会社の三者がすべて本人、本物であることを第三者が証明する仕組みを取り入れています。

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情報技術と言うと非常に難しいものと思われがちですが、難しいのは言葉だけであって仕組みの本質は意外と古くからあるものだったりします。もしかすると龍馬の活躍がなければ、今インターネットで安心して買い物ができるような世の中は来てなかったのかもしれません。

日本経済新聞 9月19日(火)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21243130Y7A910C1CR8000/ 

001

商店街などを歩いていると、残念ながら志半ばでお店をたたむことになり、お知らせの張り紙が店頭に掲げられているのを見かけることがあります。これまで一緒に働いてきた仲間たちを解散させるという決断は苦渋の判断であったとしても店主がなさなければなりません。

安倍晋三首相は17日、与党各党に早期に衆議院の解散を行う意向を伝えました。これにより10月末に総選挙の投開票が行われる見込みです。これには、11月の政治日程を考慮したということのほかに、野党の党勢が整わないことから今が選挙で勝利する好機であるという思惑もあるようです。これには野党各党や与党内部からも「大義がない」という批判が上がってきています。

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日本国憲法においては、実は衆議院の解散権がどこにあるのかを明記した条文はありません。解散については「天皇の国事行為」として行われること(第7条3項)、「内閣不信任案が可決された場合」のみの記述があるだけです。

しかし、第7条3項が示す天皇の国事行為は、内閣の助言と承認を要することなどから、内閣、その中でも特に内閣総理大臣に実質的解散権があるとする説が有力となっており、69条の示す「内閣不信任案が可決された場合」以外でも解散が認められるというのが通説です。

ただし、いずれの説も解散が認められる根拠は「国民に信を問う」機能を期待することにあり、内閣と衆議院の意思が衝突した場合、政権担当者の政治的基本性格が改変された場合など、解散のための「大義」が必要であるという結論に達します。

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今後、解散の意義が内閣によって説明されることになると思われますが、仮にその「大義」があいまいなものであったとしても、手続き上総選挙は行われることになります。そのとき仮に「大義」がないからとて「国民の信」を示さないとすると、民主主義が機能しなくなる危うい状態に陥りかねないことも忘れてはなりません。

日本国憲法
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
  第3項 衆議院を解散すること。
第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

日本経済新聞 9月18日(月)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21236970Y7A910C1PE8000/ 

001

私、男ながらソフトクリームが好きでよく一人で買って食べてます。最近のソフトクリームは盛り付けもきれいで写真映えするようになっててインスタグラムなどで共有されるのを狙っているのだとか。私はどちらかと言うと味で選びますが。(写真のチョコレートソフトは美味しかった。)

インスタグラムというSNSはよく若い女性に支持を得ているといわれ、ファッションやスイーツなど女性向けのプロモーションによく使われています。事実、2016年4月のニールセンの調査によれば日本においてのインスタグラム利用者の男女比は男性39.4%女性60.9%と6割近くを女性が占めています。リクルートのPRプランナー永田典子氏は、男性ユーザが多いFacebookなどは事実を報告するメディアであり、それに対しインスタグラムはアップした人の好きなものやコトに共感を得るメディアであることから女性に支持を得ていると指摘しています。

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「報告」という言葉を岩波国語辞典で調べると「告げ知らせること、特に、任務・調査などを行った情況や結果について述べること。」とあります。すなわちそこにはある種の「任務や調査」といった自分の意思とかかわりがない目的が存在していることになります。

一方、「共感」と言う言葉は「他人の考え・主張に、全くそうだと感ずること」とあり他人からの意見や主張に対し、ある種・主体的に「共感」と言う形で向き合っていることが窺えます。

このことから女性の方が自由な意思を持ってSNSに接したいと考え、またそのように行動しているといえるのではないかと思います。

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私の周りでは、男性の起業家よりも規模は小さいながらも女性で起業をする方が多いように感じています。女性の方が自らの感覚を信じ、共感を得るスキルが高いといえるのかもしれません。しかし、既存の価値観が崩れつつある中、新しいビジネスを起こすには多くの人に共感を得られるセンスこそが求められているともいえます。

YOMIURI ONLINE 9月7日(木)付より
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170906-OYT8T50000.html 

018

木村拓哉が主演したテレビドラマ「華麗なる一族」が放送されたのは10年前のこと。キムタク演じる鉄平は高炉建設にあたって父親である大介(北大路欣也)の阪神銀行から融資を受けるもその後10%の減額を受ける。このことが鉄平の製鉄会社の倒産の伏線となり彼を自殺にまで追い込んでしまいました。

「華麗なる一族」の舞台ともなった神戸市では、米ベンチャーキャピタルと組み起業家育成プログラムを展開しています。昨年は参加した21社のうち半数が資金調達に成功。今年のプログラムの終盤では起業家が投資家に事業計画をプレゼンテーションし、資金調達を確たるものにするようサポートします。

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新たに事業を興す場合、そのための設備投資や研究開発費、販促費など様々な場面で多額の資金を要します。一方で、その事業が成功する確率は未知数であり投資する側も、事業の実現性を慎重に見極めることになります。

事実、金融機関の創業融資制度においては、一度審査を通すことに失敗すると、その事業に対する融資のチャンスは二度とないといわれています。そのため入念に事業計画を組み、事業の収益性、現実性を面談でプレゼンテーション仕切ることが求められます。

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自治体や地域の企業がそうした面で新たな起業家を支援するのは、新事業が域内で興ることで地域経済の活性化に帰することを期待するからにほかなりません。起業家の育成がこのさき50年、100年の街の発展のカギを握ることは間違いありません。

日本経済新聞近畿版 9月13日(水)付 朝刊より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21035370S7A910C1960M00/ 

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