もうすぐ7月。京都は祇園祭に沸く季節です。祭りのクライマックスである、宵山、山鉾巡行では今年は32基の山鉾が街を彩ります。この宵山、山鉾巡行、2014年に大船鉾が復活したのを機に17日までの前祭と24日の後祭に分割されました。もともと昔は分かれていたのだそうですが、戦災などで休み山になっていた山鉾が徐々に復活し数が増え、巡行のときの交通規制が長くなってしまうなどの事情もありかつての形に戻したそうです。
祭りが年々続いていくとだんだん規模が大きくなり、いろいろな弊害が出てきてしまうものです。山形で毎年8月に行われる山形花笠踊りも今年55回目を迎え、近年は第1回の3.6倍にあたる1万3000人もの踊り手が参加しており時間内に終わらないという事態になっているそうです。これを打開する方法として山形花笠踊りの場合は、踊りを1.5倍で進める教則DVDを配布することにしたそうです。
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1.5倍で進む踊りというのは、動きが1.5倍速になるということなのでしょうか。
いえいえ、そんなちょこまかした動きになってしまったら風情も何もあったものではありません。この山笠踊り前に何歩か進んだ後、後ろに進む動きがあるのが従来の踊り方で、この後ろへ進むという動作を減らすことにより行列の進み方を早くしようとしているようです。
実は、工程管理においてもこの考え方が応用できます。ある工程が止まっていたり極端に進みが遅かったりする(これをボトルネックと言います。)と、前後の工程の進み具合がいくら早くても全体の生産量はボトルネックの進度に依存してしまいます。全体の生産量や生産性を向上させるためにはこのボトルネックのスピードを上げることが大事なのです。
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さて、山形花笠踊り、後ろに進むと言う動作があることで後の団体が前に進もうとしても進めないということが発生していたと考えられますが、これを減らすことで今年はスムーズに祭りが進行する事が期待されます。風情を壊さずに祭りの進行も滞りなく行われる。ボトルネック解消の威力のほどが見られるに違いありません。
読売新聞 6月27日(火)付 より
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20170627-OYT1T50025.html