関西I(愛)ターン人間の備忘録

2017年12月中小企業診断士登録。現在は会社員としてネットショップ支援業務に従事。 横浜に生まれながら関西にルーツを持つ筆者が、地域の事業者と市民を元気にする情報を発信します。 現在は、東京都墨田区に在住。月一度、関西とを往復する日々を過ごしています。

2017年06月

003

もうすぐ7月。京都は祇園祭に沸く季節です。祭りのクライマックスである、宵山、山鉾巡行では今年は32基の山鉾が街を彩ります。この宵山、山鉾巡行、2014年に大船鉾が復活したのを機に17日までの前祭と24日の後祭に分割されました。もともと昔は分かれていたのだそうですが、戦災などで休み山になっていた山鉾が徐々に復活し数が増え、巡行のときの交通規制が長くなってしまうなどの事情もありかつての形に戻したそうです。

祭りが年々続いていくとだんだん規模が大きくなり、いろいろな弊害が出てきてしまうものです。山形で毎年8月に行われる山形花笠踊りも今年55回目を迎え、近年は第1回の3.6倍にあたる1万3000人もの踊り手が参加しており時間内に終わらないという事態になっているそうです。これを打開する方法として山形花笠踊りの場合は、踊りを1.5倍で進める教則DVDを配布することにしたそうです。

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1.5倍で進む踊りというのは、動きが1.5倍速になるということなのでしょうか。
いえいえ、そんなちょこまかした動きになってしまったら風情も何もあったものではありません。この山笠踊り前に何歩か進んだ後、後ろに進む動きがあるのが従来の踊り方で、この後ろへ進むという動作を減らすことにより行列の進み方を早くしようとしているようです。

実は、工程管理においてもこの考え方が応用できます。ある工程が止まっていたり極端に進みが遅かったりする(これをボトルネックと言います。)と、前後の工程の進み具合がいくら早くても全体の生産量はボトルネックの進度に依存してしまいます。全体の生産量や生産性を向上させるためにはこのボトルネックのスピードを上げることが大事なのです。

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さて、山形花笠踊り、後ろに進むと言う動作があることで後の団体が前に進もうとしても進めないということが発生していたと考えられますが、これを減らすことで今年はスムーズに祭りが進行する事が期待されます。風情を壊さずに祭りの進行も滞りなく行われる。ボトルネック解消の威力のほどが見られるに違いありません。

読売新聞 6月27日(火)付 より
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20170627-OYT1T50025.html 

046

私が小中学生の時、同学年に登校拒否をしていたH君という子がいて、同じクラスの名簿に名前が載っていても年に数回しか顔を見せませんでした。どうも家庭環境が経済的に厳しいようで親もあまり積極的に学校へ行かせようとしていないようでした。そうなるとときたま学校へ来ても友達も少なく孤立し、また登校拒否になるという悪循環に陥ってしまいます。

安倍首相は神戸市内で講演し、秋の臨時国会が終わるまでに憲法改正案を党として提出したいと述べました。改憲の項目として日本維新の会などが提案する「教育無償化」の明記も念頭に「(教育問題は)避けて通れない問題だ。」と述べ議論する姿勢を見せています。

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OECDが2000年代後半に行った調査によれば、OECD加盟国において1990年代から2000年代中盤にかけて所得格差は広がる傾向にあることが分かっています。また「絶対的貧困」は減少傾向にあるものの、所得中央値の50%以下の所得の割合は1980年代中盤から2000年代中盤にかけて上昇傾向にあり「相対的貧困」が増加していることが指摘されています。

このような状況下、裕福な人はより高等な教育を受け、相対的に貧困な人は高等教育から排除されることになれば、貧困者の活躍の機会が奪われ貧困の再生産が行われることになってしまいます。現在の日本国憲法においては、義務教育の無償化がうたわれているものの高等教育の無償化については触れられておらず、改憲によって高等教育へのアクセスの機会均等を図り所得格差を是正しようという狙いがあるといえます。

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しかし、一方でOECDは世界的な傾向として高齢化による国富の保健医療支出の上昇についても指摘しており、特に高齢化が顕著な我が国においては、教育無償化の財源を確保するのが困難な状況にあります。高等教育機会の均等により所得格差を是正しようとするアプローチは現実的には難しいのかもしれません。

日本国憲法
第26条第1項 すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
第2項 すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

日本経済新聞 6月25日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H16_U7A620C1MM8000/ 

044

ここのところ、京都は建築ラッシュです。古い民家があった場所を宿泊施設などにするケースが多いようです。建物の土台ができると狭い路地にトラックや作業用車両がひっきりなしに往来し、多くの作業員の方が作業をされています。

こうした狭い空間で作業をする必要がある建築現場では、ロボットの導入は難しいものと思われていました。しかし、清水建設は自ら周囲の状況を把握して動く自立型ロボットを開発。2018年にはこうしたロボットを建築現場に一斉投入するそうです。100ヵ所の工事現場で8千台のロボットを管理できるシステムも開発したそうです。

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清水建設は、どうして技術的に困難と言われてきたロボットの導入をこれだけ一斉に行うことができたのでしょうか。

その一つの要因として、昨年4月の社長交代が考えられそうです。
清水建設は2014年~2018年度の中期経営計画を2016年度に前倒しで達成。これを一つのきっかけとして、2016年4月に現井上社長が就任。建設業界は東京オリンピック前の2018~2019年がピークと言われ、これに向けて新たな経営路線を歩み始めています。

ICTの導入もその一つ。建設業界では、特定のスキルや経験が必要な技能労働者が不足しており、省人化が強く求められています。新社長の強いリーダーシップによって大規模なロボット導入の方針が決まったのではと考えられます。

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ICTの導入は、比較的ボトムアップでも取り組むことができるといわれていますが、全社的な取り組みを行うにはやはりトップダウンが必要です。屋外の建設機器でIoTをいち早く導入したコマツも、強いトップダウンによって新たな市場を開拓し、保守コストの削減という事業戦略に沿ったICT化を進めた成功事例と言われています。

部分的なシステム化ではなくて、大所高所からICTの導入を決定することが求められる時代になっているといえます。

日本経済新聞 6月22日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO17953770R20C17A6TI1000/ 

040

吹田にある万博記念公園は、大阪で最も好きな場所の一つです。大阪万博のころの名残といえば太陽の塔と旧鉄鋼館に展示されている当時のユニフォームやポスターくらいなのですが、40年以上たった現在でも全然古さを感じず、その頃の熱気が伝わってくるようです。

万博の熱気を再び大阪へ呼び込もうとする動きが始まっているようです。大阪府の松井知事は2025年の万博誘致に向けてフランスで開かれたBIE総会で、「中小企業の集積する強みを生かし、人類が直面する課題の解決策」を示すとプレゼンし大阪をアピールしました。大阪府には、この万博を機に技術革新や新産業を創出し、人口減少や地盤沈下から脱しようという狙いもあるようです。

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万博の誘致が、地域の技術革新や新産業を生み出す原動力は次の2つにあるものと考えられます。

ひとつは、万博は先端技術を世界規模でひとところに公のものとする力があり、アーリーアダプターと呼ばれる市場のオピニオンリーダーを捕え、普及までの障壁を取り払うことができ、研究開発のリスクを低減することにあります。

もうひとつは、開催される期日は確定しており、それに向けて関連する技術革新が同時進行で進むことで近隣の地域に先端技術の産業集積が形成されることにあります。

このようにして競争力のある産業が地域に生み出され、雇用を生み出し人口流入を促すことで浮上を図るというのが、府が描くシナリオなのではないかと思われます。

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しかし、万一、誘致に失敗したり万博が思うように盛り上がらなかった場合は、巨額の資金を投じた研究開発や産業用地が負の遺産になるリスクもあります。
まずはこの大阪において誘致に活かせる強みを洗練させ、開発すべき先端技術が何かをしっかりと考えていくことが求められているのではないかと思います。

日本経済新聞近畿版 6月19日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO17780120W7A610C1ML0000/ 

002

私には、持ち家も車のローンもないことからあまりピンときていないのですが、今時分の低金利はローンを組む人やお金を借りる人にとってはありがたいことのようですね。ネット上には「史上空前の低金利!」といった見出しでローン組みのチャンスを謳う記事も多くあるようです。

この低金利、日本だけではなく世界的な傾向にあるようで、日本国債の魅力が相対的に上がっているようです。(金利が下がると、将来の利払い額が約束された国債は値段が上がるという関係にあります。)これにより、海外投資家の目が日本国債に向けられ、海外勢の保有比率が1割に到達したそうです。

海外投資家による日本国債の保有増は、国債の安定消化への貢献というメリットがある反面、海外の金融・経済情勢に左右され金利が乱高下しやすくなるというマイナス面もあるようです。そうなるとお金を借りることが困難になり、日本経済への影響は小さくないものと思われます。

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わが国では、バブル経済が崩壊した平成5年ごろから一般会計税収と歳出の差が広がり始め、それに伴い年々発行する国債の額も増大し、現在では毎年30兆円規模もの国債が発行されています。このままのペースで国債を発行し続けること自体、将来の国の財政破たんのリスクも大きくしているともいえます。

海外では、憲法に財政規律条項を盛り込んで、財政破たんを防ごうとする国もあります。スペインではリーマンショック後の2011年に憲法改正を行い財政規律条項を盛り込みました。その結果、財政赤字の縮小が進展、地方レベルの予算の監視機能が向上するなどある一定の効果を得られています。

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わが国でも、2012年に発表された自民党の憲法改正草案に財政規律条項が組み込まれるなど、憲法改正の論点の一つとして検討がされているようです。これから10年先、20年先の日本の事を考えるならば、税金を上げるのか国のサービスを削減するのかと言った痛みを伴う議論もしていかなければならない時期に差し掛かっているのかもしれません。

日本国憲法
第83条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第85条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。

日本経済新聞 6月18日(日)付朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO17807990X10C17A6EA100

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