吹田の新スタジアムができて2年目。今年も観戦に行きたいけれどなかなか行けず、ガンバの選手の活躍は、チーム公式アカウントが配信するハイライト映像で我慢しています。このハイライト映像、良くできていてゴールやチャンスシーンがコンパクトに収まっていて、2~3分の短い映像ながら試合の経過が良くわかります。
このハイライト映像の配信は今年から始まったもので、JリーグがDAZNのサービス名で知られるパフォームとの独占放映権契約を結んだのと同時に、アマゾンWebサービス(AWS)のクラウドコンピューティングを活用し、動画の一括配信を行うようになったことから実現したものです。
クラウドコンピューティングというと、複数のコンピュータ上にあるハードウェアやソフトウェアをインターネットを通じて共同利用することで、自社でそれらを保有するよりも安価でサービスを享受でき、中小企業などからもITコストの抑制の目的から注目を集めています。
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クラウドを利用すると具体的にどんなことが出来るのでしょうか。
まず挙げられるのが、データのストレージです。特に動画や画像等のファイルは大きなデータ容量を必要とし、自社のサーバで保有しようとすると大きな設備投資をしなければなりません。クラウドであれば利用料を抑えられ、場合によっては無料でデータを格納することができます。サイボウズやDropBoxといったサービスもストレージ機能を提供するクラウドです。
これまでパソコンで行ってきたような処理もクラウドサービスを利用して行うことが可能です。Jリーグでは、クラウドを利用して動画のフォーマット変換や画質の調整のみならず、冒頭で触れたハイライトシーンの編集も自動処理しているようです。これによりニュース映像などの注文があってから配信までわずか30分で行えるようになったとのことです。
使いやすいサービスでいえば、IFTTT(IF this then thatの略)などがあります。これは複数のWebサービスをあるアクションをきっかけに連動させるWebサービスで、例えばWeatherアプリで雨の予報が出たときに、「雨の日割引」の案内をTwitterで自動的にツイ―トするといったことが可能になります。
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クラウドはこのように大変便利で、安価に利用できるものですが、サービスを外部委託しているということを忘れてはなりません。情報漏えいなど何等かのトラブルがあったとしてもすべてを補償してもらうことは難しいと考えておいた方が賢明です。
こうしたことに留意してうまく活用すれば、Jリーグの動画配信のようにサービスの提供が効率的かつ効果的に行えるようになることでしょう。
日本経済新聞 5月31日(水)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO17108930R30C17A5UU8000/