古くからありそうなお店が店をたたむ光景を最近よく見かけます。経営が厳しくなってきたということもあるのでしょうが、後継者が見つからず高齢となった経営者が廃業の決心をしたというケースも少なくないのではないかと思われます。
経営者の高齢化している中小企業において、事業承継への取り組みが遅れているケースは珍しくありません。少子化により親族が経営を引き継がないケースも増えており、親族外から経営者を抜擢する割合も増えてきています。しかし、その際に障害になるのがオーナーが持つ株式。後継者がこれを買い取るには負担が大きすぎます。
そこで、経営者の持つ株式を大半を持ち株会に譲渡したり、相続などで分散してしまった株式を買戻し集約したうえで後継者を決めるなどの対策を打つ企業も出てきているようです。
---☆---★---☆---★---☆---
しかし、大企業などでは株式の分散が社長交代の障害になることはあまりないのに、中小企業では問題になってくるのでしょう。
これは中小企業の多くが、株式を非公開にした家族経営などの形態で資本と経営の分離がなされていないオーナー企業の形態をとるからであるといえます。上場企業であれば、多くの株主に利益を配分する事を目的として経営の透明性を高め、この目的を達成することができれば社長に経営が委ねられ、できなければ更迭されるという明快なメカニズムが働くことになります。
---☆---★---☆---★---☆---
オーナー企業というのは、意思決定が速い、会社の一体感を保ちやすいといったメリットもあり特に規模の小さな企業が成長・発展していくうえで有利な形態と言えます。
しかし、事業承継の問題を考えるうえでは、情報開示や組織的経営を実践し経営の透明性を高めておき、M&A等も含めた幅広い承継先を確保できる可能性を追求することも必要ではないかと思われます。
日本経済新聞近畿版 12月21日(水) 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10913960Q6A221C1LDC000/