変わりゆく世に面白く

中小企業診断士。ウエスト・アイ・ランドコンサルティング代表。会社員としてネットショップ支援業務に19年間従事の後山口県萩市へ移住。 地域おこし協力隊として従事しつつ独立。スモールビジネスとは何かを自ら実践しながら追求する。

2016年12月

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古くからありそうなお店が店をたたむ光景を最近よく見かけます。経営が厳しくなってきたということもあるのでしょうが、後継者が見つからず高齢となった経営者が廃業の決心をしたというケースも少なくないのではないかと思われます。

経営者の高齢化している中小企業において、事業承継への取り組みが遅れているケースは珍しくありません。少子化により親族が経営を引き継がないケースも増えており、親族外から経営者を抜擢する割合も増えてきています。しかし、その際に障害になるのがオーナーが持つ株式。後継者がこれを買い取るには負担が大きすぎます。

そこで、経営者の持つ株式を大半を持ち株会に譲渡したり、相続などで分散してしまった株式を買戻し集約したうえで後継者を決めるなどの対策を打つ企業も出てきているようです。

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しかし、大企業などでは株式の分散が社長交代の障害になることはあまりないのに、中小企業では問題になってくるのでしょう。

これは中小企業の多くが、株式を非公開にした家族経営などの形態で資本と経営の分離がなされていないオーナー企業の形態をとるからであるといえます。上場企業であれば、多くの株主に利益を配分する事を目的として経営の透明性を高め、この目的を達成することができれば社長に経営が委ねられ、できなければ更迭されるという明快なメカニズムが働くことになります。

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オーナー企業というのは、意思決定が速い、会社の一体感を保ちやすいといったメリットもあり特に規模の小さな企業が成長・発展していくうえで有利な形態と言えます。

しかし、事業承継の問題を考えるうえでは、情報開示や組織的経営を実践し経営の透明性を高めておき、M&A等も含めた幅広い承継先を確保できる可能性を追求することも必要ではないかと思われます。

日本経済新聞近畿版 12月21日(水) 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10913960Q6A221C1LDC000/ 

014

東大阪の街を歩くと、住宅が立ち並ぶ中に突如町工場が現れたりします。モノづくりの街ならではの風景ではありますが、最近では工場とは関係のない住民が増え、騒音問題などが市の課題となっているようです。

そこで東大阪市では、来春にも都市計画法に基づく「地区計画」で新ルールを設け、住宅と工場地帯のすみわけを行うことにしました。具体的には、工場専用の地域を設け、通常ならどこにでも建てられる住宅をも禁止する方針とのことです。こうした取り組みは全国でも珍しいようです。

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この都市計画法は、一定の要件を満たす市街地を含み都道府県が必要とした地域に都市計画区域を定めることができるとしています。日本の人口の約95%の居住区域で設定されているとのことですので、ほぼ設定されていると考えて間違いありません。

たとえばいわゆる閑静な住宅地である「第一種低層住宅専用地域」では、店舗の出店が禁じられています。また、住宅専用地域および工業地域では、宿泊施設をつくることが禁じられており、これは現在規制緩和が進む民泊においても同様です。(一部例外はあるようです。)

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静かな住宅街にある自宅で小さな店を始めようと考えている場合には、地元自治体のホームページなどで都市計画図を確認した方が良いかもしれません。

日本経済新聞 12月20日(火)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10856260Z11C16A2LDA000/ 

calolie

大阪の街を歩いていると時々、なんでその名前やねん!とツッコミをいれたくなるような店に出会うことがあります。多分店長はそれなりに真剣なんだと思いますがそれがまた可笑しかったりします。こういう店が残っている街は一種の活力が感じられて私は好きです。

ユーモアが街を盛り上げるという例は、何も大阪に限ったことではないようです。今日の日経では青森の「三大ギャグ地域おこし」と名付けて、スコップと栓抜きで三味線の弾き真似を競う「すこっぷ三味線」、禿頭に吸盤を付けて綱引きを行うツル多(鶴田町)はげます会の「吸盤綱引き」、キリストは実は日本で亡くなったという偽書に基づき神主の祝詞や盆踊りでその霊を慰めるという「キリストの墓」の3つを紹介しています。いずれも30年以上も続く地域の行事なのだそうです。

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心理学において笑いの原因を説明する理論の一つに「不一致の理論」というものがあります。通常あ全く異種であり、関連があないと思われる思考や概念や状況が、意外な驚くような方法で結び付けられるときに笑いが起きるというもの。青森の例では、スコップ―三味線、禿頭―綱引き、キリスト―盆踊りと全く異なるものが結びつけられています。

すなわちこうした新たな組み合わせにより創造性が育まれ、地域の構成員の能力を刺激することによる内発的動機づけによってこうした行事が長く続けられているのではないかと考えられます。

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なんでやねん!と、ツッコミを入れたくなるような組み合わせを考えることは、実は「ボケ」でありながら能力を活性化させ、地域を元気づける素となるのかもしれません。

日本経済新聞 12月19日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO10751810W6A211C1ML0000/ 

009

人が人の命を奪うという悲しい事件は、現代の世の中になっても絶えることはありません。今年も相模原の施設での大量殺人など、残虐かつ許しがたい事件が発生してしまいました。このような事件により家族を失った遺族の気持ちは想像を絶するものであるに違いありません。

犯罪被害者支援弁護フォーラムは17日に東京でシンポジウムを開き、こうした残虐な殺人に対して死刑制度を存続するように訴えました。死刑制度を巡っては、国際的な潮流では廃止することが求められており、日本弁護士連合会も冤罪事件の可能性を否定できないなどとして2020年までに死刑制度を廃止することを国に求める宣言を出しています。

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さて、日本国憲法の下では死刑制度は認められるのでしょうか。第36条において「公務員による残虐な刑罰」を禁止しておりこれには抵触しないのでしょうか。

この論点においては、昭和23年3月12日の最高裁判決によって合憲であるという判断が下されています。
その理由として①憲法13条は、個人として生命に対するする権利を尊重するものの、公共の福祉に反しないことを求めていること②憲法31条は国民個人の生命の尊貴といえども、法律の定める手続きによってこれを奪う刑罰を科されることが明示されていること③火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでなどに関しては残虐な刑罰といえるが死刑制度自体が残虐な刑罰とは言えないこと、を挙げています。

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私も死刑制度の廃止にはにわかには賛成できません。しかし、それは抑止的な意味であり報復的な意味ではありません。と言うのは、あくまで憲法13条は生命に対する権利を肯定的に尊重しているのであり、「公共の福祉に反しない限り」とはその条件を事前に要求しているものと考えるためです。

犯罪被害にあわれた方の気持ちは、推し量るにあまりあるものですが、もし「報復的」に命を奪うことが正当化されるならば、恨みが恨みをよび残虐性を増幅させることになりかねません。

人の命に係わるこの問題を考えるときには、感情とは切り離して冷静に考えることが求められていると思います。

日本国憲法
第13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第31条
 何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命もしくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第36条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

日本経済新聞 12月18日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17H3Q_X11C16A2CR8000/ 

014

最近、金曜日の夜は寿司を食べることが多くなっています。(と言ってもスーパーのパックですが・・)とくにブリやハマチは脂が乗っていて少し青魚特有の匂いがあって、酒飲みには外せない寿司のネタです。しかし、考えてみるとブリと言う魚は、ほかに「ブリ大根」とか「照り焼き」とかほとんど日本料理にしか登場しません。

その常識を打ち破ったのは、道頓堀に店を構えるタイ料理店「クンテープ」。ブリを素材に、タイのスパイスを使った「ブリステーキ」や、独特の酸味がある「トムヤムスープ」を提供するようになったそうです。そしてこの「ブリの国際化」を支えているのが「近大ブリ」。「におわないブリ」の開発に成功し海外にも売り込みを図ろうとしています。

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ブリが苦手という人は、青魚独特の匂いが苦手と言う人が多いようです。それは外国料理の素材として使われない理由の一つでもあり、これを克服することが海外市場を開拓することになると、近畿大学発のベンチャー企業「食縁」は考え、「におわないブリ」を開発しました。

開発には「匂いがつかない専用のエサ」、「酸化を防ぐ真空パックフィルム」、「生産管理・流通管理を行うクラウドシステム」の3つが重要な要素となったそうです。とくにクラウドシステムでは、ビッグデータ解析による科学的データに基づいた品質向上がなされ、狙った通りの味が出せるようになったということです。

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魚の養殖は生き物相手であり、味のコントロールまでは難しいものと考えがちですが、それを覆し徹底的に追及したことによって、海外という新たな市場を開拓しようと「食縁」は考えているようです。
自らの強みを妥協せず追求することが結果的に道を拓くのだといえそうです。

なんば経済新聞 12月15日(木)付 より
http://namba.keizai.biz/headline/3519/ 

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