関西I(愛)ターン人間の備忘録

2017年12月中小企業診断士登録。現在は会社員としてネットショップ支援業務に従事。 横浜に生まれながら関西にルーツを持つ筆者が、地域の事業者と市民を元気にする情報を発信します。 現在は、東京都墨田区に在住。月一度、関西とを往復する日々を過ごしています。

2016年03月

ホース

今日のNHK-BS「英雄たちの選択」のテーマは高田屋嘉兵衛。北前船を操り上方と蝦夷地(北海道)との交易で莫大な富を得た商人。上方の米や酒、蝦夷地の海産物それぞれの地にない物産や価値観を航海の危険というリスクを負って結ぶことで利潤を得るというビジネスモデルです。しかし、交通網も情報網も発達した現代では物を右から左へ動かすだけではもうけを出しにくい社会であるといえます。
ならば、ということで生産そのものを自分のところでやってしまおうと動いた大阪の商社があります。

大阪は茨木市に本社をもつマルカキカイは顧客の生産ラインの特徴に合わせて製品を加工し、使いやすくする提案営業を展開する機械商社。このたび、高圧の水を噴射して金属加工の際の削りかすなどを高精度で除去する洗浄機に強みを持つ山形県天童市の管製作所を買収。
これまでも同社製品の販売を手掛けていましたが、子会社にして取扱い数量を増やすとともに、仕入れ販売する工作機械に付随する設備の製造も手掛けることで、顧客の納品要望に柔軟に対応するという狙いもあるようです。

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マルカキカイのように顧客に適切な製品を提案営業で販売する商社にとっては、その製品を適切な量でかつ適切なタイミングで供給できるサプライチェーンマネジメントを行う必要があるといえます。顧客の要望を聞き、その情報を適切に生産者に伝えて供給を行えるようサプライチェーンの全体最適を図る戦略が求められることになります。

この買収に関して言えば、自動車業界を中心に洗浄機の注文が増えてきている背景を踏まえ、複数社にわたる販売ルートを段階的に統合し、サプライチェーンの最適化を図ることにより同社経由での売上を伸ばしたいという考えがあるようです。

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冒頭で紹介した高田屋嘉兵衛も上方と蝦夷地の産物を相互に運ぶだけではなく、函館の街に広大な営業拠点を敷設し、蝦夷地での商いを強力に拡大していったそうです。商機とみるや大胆な投資を行う度胸が勝負の分かれ目になるのは今も昔も変わらないようです。

日本経済新聞 3月31日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLASHD30H23_Q6A330C1LDA000/ 

023

私は週末自炊をする方なので冷蔵庫に野菜は入っている方だと自負しています。けれどもとかくコンビニ弁当やインスタント食品が台頭する現代、はじめて家を出た若手社員の食生活は野菜不足になりがちかもしれません。そんな社員の野菜不足を補おうとユニークな取り組みをしている会社が世田谷にあるそうです。

モバイルサービスの受託・開発などを手掛ける「ゆめみ」では毎月末になると人事部長がやってきて約100人の従業員に新鮮な野菜を手渡しするそうです。野菜は現金に換算して500~600円ほどで青果店と契約して毎月3種類のセットから選べるようにしているとのこと。当初は「野菜手当」として現金を支給することも検討されたそうですが、それでは「思いが届かない」として現物支給に。おかげでこの冬はインフルエンザで休む社員がほとんどいなかったそうです。

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日本政策金融公庫総合研究所の佐々木真佑研究員は「中小企業では社員が一人でも倒れたときのリスクは計り知れない。従業員の健康を守ることはコストではなく投資だ。」と述べています。この「ゆめみ」での取り組みは福利厚生の一環であると考えられ、社員のモラール向上にも一役買っているといえそうです。

しかし、昨今は一般的に社会保険料の負担増や従業員のニーズの多様化から企業の福利厚生の負担は大きくなる傾向にあります。そのため従業員自信が必要な福利厚生を選べるカフェテリアプランを導入したり、従業員のニーズにあわせた福利厚生の提供に絞るなどの必要性に迫られています。

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従業員の健康を気遣って生まれたこのような福利厚生プランですが、記事では堅苦しく考えず「おせっかい」を広げるのがよいと述べています。人を大事にして考えるこれが何事も原点だということですね。

日本経済新聞 3月30日(水)付 夕刊より
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO98991940Z20C16A3NZBP00?channel=DF130120166128&style=1 

003

阪神銀行の頭取の北大路欣也、その息子、鉄平役の木村拓哉らが演じる「華麗なる一族」が放映されたのはちょうど9年前。鉄平は阪神特殊製鋼に巨額の投資をして高炉を立てようとするも失敗、会社が倒産に追い込まれるというドラスティックな展開に毎週テレビの前に釘づけにされたものです。

そんな鉄鋼ビジネスのダイナミックさを示す事例が新聞に掲載されていました。
中山製鋼所は1919年操業の鉄鋼業界の中でも老舗。しかし2002年以降は高炉のほか製鋼、厚板工場を閉鎖するなどリストラに追われ、業績回復の機会をうかがうも13年3月期にはついに債務超過に陥りました。それでも翌年に地域活性化支援機構に再建を申し入れ、取引銀行から約600億円の債権放棄を受けるなどして黒字に転換。それから3期連続で黒字の見込みとなり再建から「卒業」の見込みが立ってきたとのことです。

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中山製鋼所の決算短信を追いかけていくと、2003年3月期から2009年3月期までは経常黒字を保っていたものの2010年3月期に赤字に転落その後4期連続で赤字を計上し、2013年3月期には土地、建物などの固定資産の525億円の減損を特別損失として計上したために債務超過に陥りました。

その後機構の再建策を受け入れ黒字を計上しているわけですが、赤字に転落した10年3月期の売上原価率96.3%に対し15年3月期は89.9%、10年3月期の売上高販管費率は9.0%に対し15年3月期は6.9%と人件費・減価償却費などの固定費を削減する策が功を奏しているようです。

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しかし、売上原価率の低下は原料の鉄スクラップ価格の下落によるところが大きいようで、今後他社が対応できないような10トン程度の小口の製品製造などの対応で収益確保が必要と指摘しています。
まさに鉄は熱いうちに打たないとどうにも先行きが見えないといえそうです。

日本経済新聞 3月29日(火)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98974770Y6A320C1LDA000/ 

002

かつては、天丼といえば大きな海老が載っているものをイメージしたものですが、最近は穴子天丼、鶏天丼、野菜天丼とバリエーションも様々です。海老は総じて高いので私がランチで食べるのは大概、某食堂の鶏天丼410円(税込)・・・。海老は大好きですが、私にとっては晴れの日のご馳走と化しています。

そんな高級化した海老を海外で養殖して売り出そうとする企業があるそうです。しかも養殖する場所は海ではなく陸上。東京都新宿区のITMエンジニアリングは病気を防ぐ薬品を使わないで海老を養殖する技術を開発。通常の養殖モノより3倍も甘く、添加物も薬品も使わないため日本では「食の安全にこだわる消費者の関心が高い」とのこと。
この技術をラオスに持ち込み現地の安い人件費や光熱費を生かして養殖をするそうです。それでも価格は一般の海老より5割ほど高く、富裕層向けに現地の高級レストランやホテルに売り込みをするとのことです。

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この会社は、日本でもラオスでもこの高級海老を流通させていますがそのマーケティング戦略はそれぞれ違っているものと考えられます。

日本では人口減少と食の多様化で市場は「成熟期」に入っていると考えられます。成熟期においては①現在の使用者に対し使用頻度の向上を図る②新用途の開発を図る③新市場の開拓を図る④商品を改良するなどの戦略が有効とされ、この企業の場合「無添加・薬品なしで3倍も甘い」という④商品の改良によって生き残りを図ろうとしています。

他方、ラオスでは経済成長が著しく富裕層と呼ばれる人たちが出現しつつあり高級海老の分野では「導入期」にあると考えられます。導入期においては先駆的な「革新者」を相手に製品を販売していくことになります。この時期は市場規模も小さく生産コストも高いため利益は少ないのですが、この間に認知度が高くなれば市場が「成長期」に入ったときに大きな利益を得られることになります。

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ラオスで「海老天」が多く食べられるようになったときには、この会社の社長は「海老御殿」を建てているかもしれません。おあとがよろしいようで・・・

日本経済新聞 3月28日(月)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO98925310X20C16A3TJE000/

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