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ここのところ、京都は建築ラッシュです。古い民家があった場所を宿泊施設などにするケースが多いようです。建物の土台ができると狭い路地にトラックや作業用車両がひっきりなしに往来し、多くの作業員の方が作業をされています。

こうした狭い空間で作業をする必要がある建築現場では、ロボットの導入は難しいものと思われていました。しかし、清水建設は自ら周囲の状況を把握して動く自立型ロボットを開発。2018年にはこうしたロボットを建築現場に一斉投入するそうです。100ヵ所の工事現場で8千台のロボットを管理できるシステムも開発したそうです。

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清水建設は、どうして技術的に困難と言われてきたロボットの導入をこれだけ一斉に行うことができたのでしょうか。

その一つの要因として、昨年4月の社長交代が考えられそうです。
清水建設は2014年~2018年度の中期経営計画を2016年度に前倒しで達成。これを一つのきっかけとして、2016年4月に現井上社長が就任。建設業界は東京オリンピック前の2018~2019年がピークと言われ、これに向けて新たな経営路線を歩み始めています。

ICTの導入もその一つ。建設業界では、特定のスキルや経験が必要な技能労働者が不足しており、省人化が強く求められています。新社長の強いリーダーシップによって大規模なロボット導入の方針が決まったのではと考えられます。

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ICTの導入は、比較的ボトムアップでも取り組むことができるといわれていますが、全社的な取り組みを行うにはやはりトップダウンが必要です。屋外の建設機器でIoTをいち早く導入したコマツも、強いトップダウンによって新たな市場を開拓し、保守コストの削減という事業戦略に沿ったICT化を進めた成功事例と言われています。

部分的なシステム化ではなくて、大所高所からICTの導入を決定することが求められる時代になっているといえます。

日本経済新聞 6月22日(木)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO17953770R20C17A6TI1000/