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歴史の授業で習った二・二六事件。文字通り今日2月26日に発生した事件です。青年将校たちが、クーデターを企て、高橋是清大蔵大臣など政府要人を殺害し雪の東京を血で染めました。4日後には鎮圧されましたがその間、戒厳令で報道が制限され一般の人たちには何が起きていたのか知らされませんでした。

その間には「戒厳軍が毒ガスを発射した」など根も葉もないデマが飛び交ったのだとか。翻って現在。トランプ大統領は都合の悪い情報を「偽ニュース」と呼び、一方ででまかせ発言をやめない。「事実より気分が大事」との風潮に乗じており、ときに、人はデマや噂に惑わされやすく根っこの弱さは変わっていないと日経春秋は指摘しています。

トランプ大統領の発言に限らず、とくにネット上にはデマが多く飛び交い人々を惑わせることが間々あるわけですが、こうしたデマを法で取り締まることはできないのでしょうか。

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情報発信を取り締まるということは、常に「表現の自由」の制限することを意味し、憲法はその合憲性について厳格に審査されるべきとしています。その理由は、ひとたび表現の自由が制限されると民主的政治過程が機能しなくなること、経済政策と密接に関わる経済活動の自由とは異なり司法機関がその可否を判断すべき事案であることが挙げられています。

しかし、わが国の判例を紐解いていくと、法律の規定がかなり広汎で不明確な場合でも、法令を憲法に適合するように狭義に解釈し、合憲と判断する傾向があるといわれています。

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もし、「事実より気分が大事」という風潮に乗じデマやウソの情報を重用し続け蔓延するようになると、逆にそれが社会的害悪であるという大義の下、表現の自由が制限されていくという危険にもさらされることになります。
民主主義を維持するためには、われわれ国民自らが真実を見極める目も鍛える必要もあるようです。

日本国憲法
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第二項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

日本経済新聞 2月26日(日)付 朝刊より
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO13393340W7A220C1MM8000/