人気の就職先ランキングを見ると、上位を占めるのはいつも大企業。全国的な知名度を考えると当たり前の話ではありますが、そんな大企業が数を減らしているという奇妙な現象が起きているそうです。しかも景気回復により中小企業を含む総法人数が3年連続で増えているにも関わらず、大企業は3年連続で減少と全く逆の状況になっているのだそうです。
そのからくりは、税制上の問題であるとこの記事では指摘しています。法人税法上の「中小企業」は資本金が1億円以下であり、これを超えると大企業とみなされ法人税率が上がるのに加え、赤字でも支払う義務のある外形標準課税を課せられます。そのためこうした「税制の壁」を意識して1億円を超える資本金の積み上げをためらいがちであるといわれています。逆に、吉本興業のように大幅な減資をして資本金1億円に下げ「中小企業」になるという例まで出てきています。
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「中小企業」の定義は、実はこのほかにもあり中小企業基本法による区分では資本金基準、従業員基準のどちらかを満たせば「中小企業」とみなされます。
それぞれの基準は業種によって異なり
製造業その他・・・資本金3億円以下 or 従業員数300人以下
卸売業・・・資本金1億円以下 or 従業員数100人以下
小売業・・・資本金5000万円以下 or 従業員数50人以下
サービス業・・資本金5000万円以下 or 従業員数100人以下
となっています。この法律は「頑張る中小企業」を国が支援する際の基準となっており、1999年改正の中小企業基本法では中小企業に求める役割として「新たな産業の創出」「就業の機会の増大」「市場における競争の促進」「地域における経済の活性化」を定めています。
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もし、記事が指摘するように税制上の問題だけで「中小企業」でい続けようとするならば、それ以上の投資や雇用の拡大が望めず真の意味で「中小企業」を保護する意味がなくなってきます。自立できる規模の企業なのであれば、国の優遇措置に頼ることなく社会に貢献してほしいものです。
http://www.nikkei.com/article/DGXKASFS21H01_R20C16A3NN1000/